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ペットの夏の病気[熱中症]

病気の知識




こんにちは。アニマル医療センター 桃ペットクリニックの院長の加藤です。もうすっかり夏ですね。今年は夏休みの旅行の代わりに『ボランティア活動 or 募金』をする方が多いと良いのですが? 震災以降、日本人の価値観が変化したように感じます。人生も予想外の出来事で、いつ終わりが来るか分からないという事を実感した方も多かったのではないでしょうか?獣医なんて仕事をしていると、昨日まで元気そうだったペットが急に死んでしまう姿を何度も見ているので、生命のはかなさを痛感してしまいます。震災の影響かは分かりませんが、今年は相変わらずの不況なのに、フィラリア予防をしっかり行う飼い主さんが多かったです。『命あっての物種』ともいうように、人間よりもはるかに短い寿命のペットちゃんですから、生きているうちに一生懸命かわいがってあげましょう。


【ペットにも熱中症がある!?】

ペットにも熱中症があるのでしょうか?答えは『ある』です。閉め切った車内やマンションの一室等の長時間の放置でなる場合もありますが、犬種によっては短時間でも熱中症になったり、散歩途中や人間と一緒の室内でも熱中症になる場合があります。当院でも診察を屋外で待っている間に、熱中症になった例もあります。毛が長い犬種や毛が密に生えている犬種(シェルティ・ハスキー・バーニーズ等)や短頭種(パグ・フレンチブルドッグ・シーズー等)は要注意です。他にも特に運動もしていないのに、舌を出してハァーハァーしている場合は要注意です。毛が長く冬毛と夏毛が生え変わらない場合は、人間がセーターとマフラーをしているようなものですから、普段から暑い訳です。是非飼い主さんもセーターとマフラーをして同じ気持ちになってあげてください。また、パグ等の短頭種の場合は元々呼吸がしにくいので、呼吸で熱を放出しづらいのです。是非飼い主さんも2重にマスクをして同じ気持ちになってあげてください。
猫はあまり熱中症にならない?との『ウワサ』もあるようですが、熱中症になる可能性は同じで、猫の熱中症もあります。ただ、実際の診療では猫の熱中症は圧倒的に少なく、理由として ①猫はトイレのしつけが簡単なため室内での放し飼いがほとんどで、家の中で涼しい場所を自分で選んでいる ②人間と散歩に行かない ③ケージに入れて移動より留守番が多いためではないかと思われます。


【熱中症の原因と症状】

熱中症の原因は、何らかの理由で体温調節が自分でできなくなり、体温がドンドン上がっていってしまう事にあります。熱中症を引き起こす要因としては前にも書いたように、高温多湿の環境・長い毛・鼻や口の構造等です。また、汗腺も人間に比べて圧倒的に少ないので、汗をかいて熱を放出することもしにくいので、人間とはかなり暑さの感じ方が違うはずです。ただ、平常時の体温は人間よりも高めなので、人間よりも暑さには強いのかもしれません。
症状としては呼吸困難・失神・けいれん・下痢・血便・嘔吐・虚脱等様々です。初期ならば回復させる事もできますが、そのまま死亡してしまうこともあります。


【対策】

予防のポイントは、『暑い場所に放置しない』につきますが、飼い主がまずペットの気持ちを体感する事が一番大事です(ただし、自己責任で)。自分が強烈に暑く不快な体験をすれば、(例えば、冬服を着てエアコンを止め閉め切った炎天下の車内や直射日光の当たる部屋等)、ペットにも同じ事をさせないで済むのではないでしょうか?人間でも毎年子供の車内放置で事故がありますが、ペットも子供や赤ちゃんと同じで、自分の力で脱出できないことが多々あります。日光が当たる場所で長時間つながれていたり、閉じ込められていても、逃げ出す事もできず我慢するしかないのです。飼い主の想像力の欠如が原因で不注意による事故が起こるのです。


【応急処置】

熱中症になってしまった場合の応急処置は、意識があれば、まず水を飲ませたり、氷を舐めさせたりします。意識が無い場合は、呼吸が止まっていれば人工呼吸をします。人工呼吸の簡単な方法は、手足を持って体全体を伸ばしたり縮めたりします(アコーデオンのように)。そうすると、自然に肺に空気が入ったり出たりします。次に体温を下げますが、太い血管が走っている首や脇や股を氷や水で冷やします。風を体全体に当てるのも有効です。意識が無い場合に水を無理に飲ませると、気管に水が入って窒息してしまうことがありますので止めた方がよいです。


全体的なまとめ

ペットの熱中症は致死率が高いです。それは、症状が飼い主に分かった時点で、かなり重度な熱中症になっているからです。熱中症は病気ではなく、飼い主が注意していれば十分防げる事故です。また、暑いと熱中症だけではなく、熱を放出しようと心拍も上がり心臓にも負担がかかります。一度、飼い主さんもひと夏、冬服で過ごしてみると、暑いのに文句も言わず、ハァハァと我慢してくれているペットの気持ちが良く分かるのではないでしょうか?
当院に来ている飼い主さんには、夏には毛を短くする事を勧めています。やはり、毛を短くするとペット達も快適なようです。今年は節電、節電と言っていますが、ペット達のためには是非冷房をして、快適に過ごさせてあげてください。健康な人は電車で海にでも行ってエコと経済に協力しましょう。

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