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皮膚病について

病気の知識





こんにちは。アニマル医療センター 桃ペットクリニックの院長の加藤です。すっかり寒くなりましたが、皆様は風邪などひいていないでしょうか?一時期は大騒動だった新型インフルエンザも今年はあまり騒がれていないようですが、私はとりあえずインフルエンザワクチンを接種しました。BCGを子供の頃に接種しているのに結核が大学生の間で流行したり、高齢者は新型インフルエンザの抗体をすでに持っているから感染しにくいかも?など不可解な現象の多い感染症の分野ですので、ワクチンは接種した方が良いような気がします。今回はそんな不思議なワクチン治療もある皮膚病についてお話します。


【皮膚病はこんな病気】

一口に皮膚病といっても、色々な原因・症状・程度が有ります。同じ原因でも季節や体調や生活環境等でも症状が変わってくることもあります。皮膚病は確定診断が困難な事も多く、病気の中でも治療が難しいジャンルになります。しかし、ペットが皮膚病になる事は非常に多く、転院してきた症例の中には不適切な治療を受けている事も多いです。その結果、慢性化していたり、より悪化していたりしている事も少なくありません。これは、特に皮膚病に詳しくない獣医でも薬で症状を抑える事は比較的簡単なため、短期的に見れば治ったように見せる事ができてしまうためです。しかし、皮膚病の原因とは関係なく症状を抑えるだけの治療をすれば、いつかはその反動でより悪化したり、薬が効かなくなったりしてしまいます。
皮膚病にかかりやすい犬種は、パグ・シーズー・フレンチブルドッグ等の短頭種、柴、ミニチュアダックスが当院の診療では多いです(飼育犬種は地域差がかなりあるのであくまでも当院で多い犬種です)。猫は特に種類でかかりやすさに差はありませんが、屋外にも行き来できる飼い方の猫は寄生虫や真菌に感染する事が多いです。うさぎやハムスターは子供の頃にペットショップやブリーダーの所で寄生虫や真菌感染になっている事もあります。アトピーに関しては猫やうさぎはあまり多くなく、ハムスターではしばしば見かけます。 皮膚病の種類で多いのは、アトピー・寄生虫感染・真菌感染・ホルモン異常です。


【症状】

皮膚病の初期はどんな原因でも軽い湿疹や脱毛や痒みから始まることが多いです。特にすぐ治るような一時的な皮膚病でも、痒みがある場合は掻くことによって悪化してしまうことがあります。また、原因が一つだけとは限らず、いくつかの原因が複雑に絡み合っていたり、状態により変化したりします。原因によっては症状が出る場所に特徴があったり、脱毛や皮膚の変色の仕方等に特徴があるものも有りますが、例外も多くあくまで目安という程度です。
例としては、真菌感染は円形状の脱毛から始まる事が多く、痒みはあまり無い事が多いです。ダニ感染は痒みが強く、寝ていても急に痒がるような事もあります。アトピーは脇・股・肛門周り等の皮膚の薄い部分の炎症や湿疹から始まる事が多いです。ホルモン異常は左右対称に脱毛したり、脱毛した部分の皮膚が黒く変化したりします。また、ストレスでもペットは皮膚を舐める事が多く、脱毛や炎症等の皮膚病のような状態になります。


【対策】

皮膚病の予防は非常に難しく、寄生虫感染のノミ・ダニ予防と真菌感染の予防ぐらいしかできません。ノミ・ダニ予防は、皮膚にたらすだけで予防できる薬がありますので、動物病院で処方してもらえます。真菌感染の予防としては基本的には24時間以内に皮膚に付いた真菌を洗い流せば感染しませんが、毎日ペットを洗うのはなかなか大変だと思われる飼い主の方が多いようです。アトピーやホルモン異常の予防は基本的にはできないと考えてよいです。
皮膚病になってしまった場合は、こじれる前に早く診察を受けて適切な治療を開始するしかありません。皮膚病の種類によって、早く治る場合(1~2週間)と長期(数ヶ月~数年)に治療が必要な場合等様々です。早く治る場合でもこじらせたり、適切な治療で無い場合は他の皮膚病を併発したり、慢性化したりして長期間の治療が必要になる場合もあります。アトピーやホルモン異常等は長期に治療が必要な場合が多く、場合によっては一生治療が必要な事もあります。治療は原因を突き止める治療法と症状を止めるだけの治療法とありますが、原因を突き止める治療法は検査をしたり時間が掛かったり飼い主の負担も大きくなりますので、獣医師とよく相談しながら治療することが大切です。


全体的なまとめ

皮膚病は痒みを伴う事が多く、ペット自身が不快感を感じる病気です。痛みは我慢できても痒みは我慢できないように、見ていても本当にかわいそうです。しっかり原因を突き止めて慎重に治療すれば、長期に亘る治療でも副作用も無く症状を改善していく事は可能です。皮膚病治療で一番大事なのは、全体的な治療計画を立て、飼い主と獣医師が一緒に協力して緻密なデーター分析をする事です。ペットを詳細に観察できるのは、一緒に暮らしている飼い主ですから、飼い主が小さな変化に気づいて獣医師に報告しないと獣医師の判断も狂います。皮膚病は検査では判断できない部分も多く、獣医師の主観的な判断や投薬の反応から判断する事もよくあり、獣医師の能力や経験が大きく物を言うのです。皮膚病治療は飼い主がいかに良い獣医師選びをするかが大事だといえます。
アトピーに関しては、私の得意分野でもありますので、アトピーを特集する回で詳しくお話したいと思います。

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