子犬のしつけ メニュー

子宮蓄膿症について

病気の知識





こんにちは。アニマル医療センター 桃ペットクリニックの院長の加藤です。新年も1ヶ月程経ちましたが、今年はどんな年になるでしょうね?人生は何が起こるかわからないと言いますが、東日本大震災を目の当たりにして、命がいつ終わるかわからないという事を実感した人も多かったのではないでしょうか?生物は命の危機を感じると子孫を残したくなるのですが、その影響か震災以降はTVで芸能人に子供ができた話を耳にする機会が多かったような気がします。ゴキブリも死ぬ前には卵を産んで死んでいきますし、人間も同じようなものなのですね。ペットも事故死や何の前兆もなく突然死したりします。元々人間に比べて寿命の短いペット達ですから、日々精一杯かわいがってあげたいものです。


【子宮蓄膿症はこんな病気】

子宮蓄膿症とはその名の通り『子宮に膿が蓄積する病気』です。人間では蓄膿というと鼻の奥に膿が溜まる病気が有名でしょうが、それの子宮版です。子宮は妊娠時に母体の中で胎児が大きくなる場所ですが、その胎児が大きくなるスペース分いっぱいまで膿が溜まり続けます。子宮がある動物は全部なる可能性がありますが、動物病院に来るペットでは犬・猫・ウサギ・ハムスターが多いです。避妊手術をして子宮を切除していれば罹患する事は無いので、獣医によっては予防的に避妊手術を勧める人もいるようです。かかりやすい種類としては犬が圧倒的に多く、避妊手術をしていない場合は中年以降にかなりの高確率で発病します。発病は生理後2~3ヶ月の間に起こることが多く、この間に中年以降の犬の体調が悪くなった場合は、まず子宮蓄膿症を疑います。また、蓄膿という名前ながら、子宮で発生した膿が陰部から流れ出て蓄積しない場合も子宮膿発生症とは言わず、なぜか『子宮蓄膿症』と一くくりにしています。


【症状】

子宮蓄膿症の症状はかなり固体差があり、症状が進むまで一見無症状の事も多々あります。体温や血液検査が正常な場合も多く、レントゲンや超音波検査等も含め総合的に診断します。
判りやすい例としては、水を良く飲むようになったり、尿が増えたりする事もあります。陰部から膿の様な物が出たりする場合もありますし、お腹が膨らんできたり、食欲が低下したり、元気がなくなることもあります。
生理が終わったはずなのに、数ヶ月も陰部から生理のように血のような物が出続ける場合は子宮蓄膿症の可能性が高いです。ハムスターも陰部から血のような物が出る場合が多く、飼い主が異変に気づくことも多いです。


【対策】

予防策としては避妊手術(卵巣子宮全摘出)が一番確実です。犬の場合は生理後数ヶ月間抗生物質を投与するのも有効です。どの種類のペットも中年以降なると発症率が高くなります。犬の場合は6才以降になると要注意です。治療法としては外科手術で子宮切除が基本ですが、超高齢動物や状態の悪い場合は抗生剤投与等の内科療法の事もあります。しかし、内科療法の場合は一度治っても再発する事も多々あります。早期治療をすれば死に至る事は少ないですが、体の中に膿が溜まった状態な訳ですから、決して楽観視できる病気ではありません。子宮の中の膿から血液中に菌が入ってしまえば敗血症等になって死亡する事もあります。
【避妊手術について】
避妊手術は気軽に考えている飼い主も多いような気がしますが、基本的にお腹を開いて臓器を取る手術ですから、皮膚や骨折等の手術に比べてリスクは高い方だと思います。基本的にというのは内視鏡を使って小さな傷口で手術する事も可能ですが、普通に開腹する手技に比べてメリットが小さすぎるので、ほとんど誰も行っていないのが現状だからです。むしろ手術時間が長くなるのでデメリットの方が大きいと思います。避妊手術はどこの動物病院でも行っていますし、去勢手術(雄の睾丸除去手術)と並んで、獣医が生涯でする手術の中で一番多い手術でしょう。特に複雑な技術(複雑ではありませんが、早く確実に行うにはかなりの技術が必要です)も特殊な設備も必要としませんので、ある意味誰にでもできる手術ですが、卵巣や子宮にはかなり太い血管があるので、血管の処置をしっかり行わないと出血多量で死亡する事になります。これは血小板の数が少ないとか出血しやすい体質等のレベルの話ではありません。卵巣・子宮を切除する際の血管は100%完全に出血しないように処置するので出血しやすいということはありません。もし獣医が術前検査で『出血しやすいからリスクが大きい』等のことを言う場合はちょっと疑った方が良いでしょう。本当に出血しやすい病気の場合は血を抜く際の針の傷からいつまでも血が出続けるので、きちんと治療をしましょう。
また、手術中に切除した卵巣の細胞が落ちてお腹の中で生き残ってしまったり、元々正常な場所以外にも卵巣細胞がある場合は避妊手術後も生理のような反応が出る事もあります。
ウサギは内臓の組織も非常に薄く繊細な技術が必要です。また、手術のストレスにより食欲が低下すると胃腸障害を起こす可能性があります。ウサギは胃腸障害から致死的な状態になる事もあるので要注意です。
ハムスターはウサギ以上に内臓の組織も薄く脆いです。出血量を抑えないと出血多量ですぐ死んでしまいます。
犬・猫に比べてウサギやハムスターでは避妊手術のリスクが子宮蓄膿症の予防効果に対して高い気がします。


全体的なまとめ

子宮蓄膿症は日常の診察で比較的良く遭遇する病気です。しかし、簡単に的確な診断ができるケースばかりではありません。前述したように症状が多岐に亘り、一見関係ない様に見えて実は子宮蓄膿症の場合も多々あるのです。問診と年齢等で大体予想は付きますが、色々な検査をしても確定診断するほどの決定打が無い事もあります。また、飼い主の中には陰部からの出血を血尿と間違えている場合もあるので、問診時も良く聞き取りをしないと誤診につながってしまいます。大学の恩師の言葉で『飼い主の言う事は信じるな!』というのが強く印象に残っていますが、本当にそういうケースも良くあり、『さすが先生だな』と実感する今日この頃です。勤務医時代も、院長に『種別と性別と年齢で大体病気は判別できるんだよ!このバカ!』と言われた事も有りますが、まさにその通りで経験を積むと頭の中で辞書のように病気が体系化されてくるんですね。レントゲンや超音波検査も今より昔は見えてなかったはずなので、振り返ると恐ろしくなります。

ペットのことからおうちのことまで住マイルワンにおまかせペットのことからおうちのことまで住マイルワンにおまかせ