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異物摂取について

病気の知識





こんにちは。アニマル医療センター 桃ペットクリニックの院長の加藤です。暖かい日も増えてきて、そろそろ春ですね。震災から一年程経ちましたが一向に復興の目処は立っておらず、やはり放射能という目に見えず除去もしづらい物質が広がっているのが大きな一因なのでしょうか?世界経済も先行き不透明どころかお先真っ暗で、世間では就職難や物騒な事件も多いですが、花見でもして日々気楽に過ごす事が健康の秘訣ではないでしょうか??飼い主が悩んでいるとペットも悩んでしまいますし。


【異物摂取とは】

異物摂取は犬・猫・うさぎ・ハムスター・フェレット等様々な種類のペットで起こります。異物摂取は病気というより『事故』とも言えます。飼い主が想像しないような物まで食べてしまう事もあり、家庭内ではティッシュ・新聞紙・ダンボール・洗濯ばさみ・ライター・竹串等、屋外では石・木片・ボール投げのボール等何でも食べてしまう可能性があります。性格にもよりますが、比較的子供の時に起こりやすいです。以前当院であった症例では、飼い主の知らない間に竹串を飲み込んでいて、かなり後になってから皮膚を突き破って出てきた犬がいました。腹膜炎も起こさなかったようで、すごく運が良かった例です。
猫・うさぎは特に毛づくろいの毛を飲み込んでしまい、そのまま胃の中で固まって毛玉になってしまう事も良くあります。ハムスターは頬袋の中に食べ物を貯める習性がありますが、食べ物以外の人工物が入って出なくなってしまう事があります。フェレットは室内で遊ばせている際に異物を食べてしまい、腸に詰まってしまうことが多いです。


【症状】

異物が胃腸のどこかで詰まってしまうと嘔吐や下痢等の消化器症状が起こってきます。消化器症状の治りが悪い場合は、飼い主が摂取現場を目撃していない場合でも異物摂取を疑って、血液検査の他にバリウム検査や内視鏡検査等をする事もあります。犬の場合は散歩中に異物を食べてしまうのを飼い主が目撃している事も多く、この場合すぐ動物病院に連れてくるので吐かせる事が可能な場合もあります。猫・うさぎ等は徐々に毛玉が蓄積されていく事が多く、ある日突然食欲が低下したりします。一般に胃と腸では腸に詰まってしまったほうが重篤になる事が多く、腸で詰まった場合は詰まった部分が血行不良により壊死してしまう事もあります。そうなった場合は、壊死した部分を切除して正常な腸と腸をつなぐ手術が必要になります。胃で詰まった場合は、胃自体がかなり収縮性のある臓器なので、異物を除去すれば回復することが多いです。ペット全体に言えることは、消化器の口に近い方で異常がある場合は『嘔吐』肛門に近い方で異常がある場合は『下痢』の傾向があります。異物摂取で下痢が起こっている場合は、腸にも異常がある可能性が高く、危険度が高いという事です。


【対策】

対策としては、普段から異物摂取の癖があるペットの場合は飼い主が気をつける以外にありませんが、猫の毛玉は毛玉対策用のキャットフードや猫用の草等を与えるのも一つの手です。うさぎは牧草をいつも食べさせる事が一番の対策で、牧草よりペレットの割合が多くなると毛玉ができやすくなります。うさぎの毛玉は他の動物とは比較にならないほど危険で、処置が遅れると死亡する事もあるほどです。うさぎは体調不良をギリギリまで表さないことが多く、一見普通に見えますが良く観察しているとペレットの数の減りが少なかったり、便の数が少なかったり、便の大きさが小さくなっていたりします。これらの症状はうさぎにとっては非常に重要なサインで、すぐに治療しないと手遅れになります。ハムスターの頬袋に異物が詰まってしまった場合は、早期なら取り出すだけで解決することもありますが、症状が悪化している場合は頬袋ごと切除が必要な事もあります。


全体的なまとめ

異物摂取は日常の診察で良く遭遇します。単なる嘔吐・下痢なら2~3日もすればよくなりますが、異物がどこかに詰まっている場合は、原因を取り除かない限りよくなりません。体全体のダメージが少ない早期なら手術のリスクも小さいですが、遅くなると腸が壊死したり他の内臓にも影響が出てきてしまいます。詰まっている場所によってはどんどん悪化して手遅れになる事もあります。異物の種類や場所によっては内視鏡で発見でき、そのまま引っ張り出す事もできますが、胃の中は胃液でヌルヌルしているのでプラスチック等のツルツルした素材の物は切開しないと取り出せない事も多いです。また、内視鏡も全身麻酔を行わないといけないので、人間に比べても大変な検査です。異物摂取は日頃のちょっとした注意で防げる事も多いと思いますので、ぜひ気をつけてあげてください。

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