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夏の危険性について

病気の知識





こんにちは。アニマル医療センター 桃ペットクリニックの院長の加藤です。夏はいかがお過ごしでしょうか?最近は脱法ハーブが話題になっていますが、誘惑の多い夏休みには若者の間で脱法ハーブが広まりトラブルが続出しそうです。治療でも脳に働く薬を使う事がありますが、効果の高さに驚く薬も少なくありません。例えば、病気で食欲が無いペットに薬を注射すると診察台の上で緊張も忘れてガツガツ食べだしたりします。これが人間に違う用途で使用されたらと思うと本当に恐ろしいです。脱法ハーブも成分的には麻薬と同じだそうなので、薬物の種類によっては一度でも使った人は一生フラッシュバックに悩まされたり、そのまま中毒患者の道へ入ってしまうのでしょうか?薬って使い方次第では本当に恐ろしいです・・・。ペットはハーブの誘惑には乗らないでしょうが、夏は色々な危険が待っています。今回はそんな危険な夏のお話です。


【夏の危険性とは】

<熱中症>皆様も夏でまず思い浮かぶのが熱中症でしょうか?人間も毎年何人も熱中症で死亡していますが、当院も毎年多数のペットが熱中症で来院します。重症の場合は意識も無く死亡してしまう事も珍しくありません。ペットの種類によっては人間に問題のない温度でも呼吸困難になったり、ぐったりしてしまいます。
<マダニ>散歩に行くペットの場合は、マダニ寄生があります。マダニは気温が高くなると活動的になり夏場は特に寄生が増えます。マダニは草や葉の先端で動物が通るのを待っていて、動物が近くに来ると飛び移って噛み付き、血を吸います。吸血前は小さいので見つけにくいですが、吸血後はお腹いっぱい血を吸って大きくなるので肉眼で見つける事ができるようになります。時々、『急にイボができた』と吸血後のマダニをイボと勘違いして来院する飼い主がいますが、イボを良く見てみると手足もあり動いています。ちなみにノミは生物の体に住んでいるので、季節に関係なく生物から生物へと寄生します。
<誤飲・誤食>バーベキューでペットを連れて行く時に起こるのが、串やネギ類を食べてしまう事故です。飼い主が目撃している場合はすぐ対応できますが、知らずに後日体調が悪化して検査で判明する場合もあります。串の場合は外科手術で取り出す必要があります。
<蚊除け剤>蚊対策で蚊除け剤を使う事も多いと思いますが、薬剤によってはペットに有害な物もあります。当院の症例では、昔ながらの蚊取り線香等では問題になった事はありませんが、最近登場した蚊除け剤や消臭剤の中には肝臓の悪化を引き起こす場合があります。はっきりした因果関係は分かりませんが、使用を止めると肝機能の検査数値も正常に戻るので、関係していると思われます。小型のペットでは人間に比べ体への影響も大きいのだと思われます。
<膀胱結石>膀胱結石も夏場は多くなります。気温が上がると体から蒸発する水分量も増えるため、尿が濃縮しがちになります。すると尿の中で結晶成分が集まり結石になってしまいます。蒸発量に比例して飲水量が増えれば問題ないのですが、飲水量が涼しい時期と変化のないペットも意外と多いです。
<皮膚病>皮膚病も夏場は多くなりますが、真菌(カビ)症が特に多くなります。真菌も気温が高くなると活動が活発になるので、ペットに感染して皮膚病を引き起こします。


【熱中症の症状】

夏の危険性の中でも生死に関わるのが熱中症の症状です。ペットは人間に比べて被毛で全身を覆われているので、熱の発散が困難な構造です。初期段階は呼吸が荒くなったり、元気がなくなったり、舌の色が紫になったりします。この段階で気づいてすぐに体を冷やしてあげれば元に戻る事もあります。中期段階では意識がもうろうとなり、視点が合わなくなったり嘔吐や下痢をしたりします。この段階では早急に治療を開始しないと手遅れになります。最終段階になると意識喪失やケイレン、呼吸停止を起こす事もあります。この段階になると内臓も障害を受け致死的になる事もあります。


【対策】

<熱中症>一番多いのが散歩中に熱中症になってしまうケースです。人間は頭が高い位置に有りますが、ペットは地面の近い位置に有り、地面の反射熱の影響をダイレクトに受けます。特に短頭種は短時間でも体温調節がうまくいかず熱中症になる事があります。対策は日差しがあるうちは散歩に行かない。他にも、家の中でも風通しが悪い場所では熱が体内にこもり熱中症になる場合があるので要注意です。
<マダニ>マダニは草を避けるしかありません。顔を草むらに突っ込む事を好むペットもいますが、マダニにとっては格好の獲物になってしまいます。一度喰いつかれると少々の力では取れないですし、無理に引き剥がすとマダニの口が皮膚に残って炎症を起こします。あらかじめマダニ予防薬を投与しておけば喰いつかれてもマダニが血を吸って死んでしまいますが、一度は血を吸われることになります。マダニはペットの血液に寄生する微生物を持っていますので、血を吸われることで微生物の感染が起こる危険性があります。薬でマダニを寄せ付けないようにする事は出来ません。
<膀胱結石>膀胱結石は飲水量の管理である程度防げますが、ペットに無理に水を飲ませる事はなかなか難しいので、食事を缶詰等の水分の多いものにするのも一つの手です。ただし、ドライフードに比べて歯石が付きやすくなる傾向があるので歯磨きをしっかりしないといけません。
<皮膚病>真菌は24時間以内に洗い流せば皮膚内に入り込まないので、毎日洗ってあげると予防になります。


全体的なまとめ

夏はお盆や夏休みでペットと一緒に外出をする事も多いかと思いますが、いつもと違う環境でストレスがかかる事も多いでしょう。旅行先で慣れない病院に駆け込むことのないように、あらかじめかかりつけの獣医さんに相談して常備薬の処方を受けたり、予防等をおこなっておくと良いと思います。また、山や川に行った際には帰宅後に駆虫薬の投与をするのも良いと思います。楽しい夏をトラブル無く過ごすために、少し気を使ってあげると良いでしょう。

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